ジュニアセッションでの発表内容

『2001年しし座流星群とふたご座流星群における HROとFROの比較』


    〜 概要 〜

長年旭丘高校天文部で行われてきたFRO(FM-band Radio Observation:FM電波観測)と、
昨年(2001年)夏から新しく始めたHRO(Ham-band Radio Observation:アマチュア無線電波観測)とで
観測結果を比較し、そこから2001年のしし座流星群・ふたご座流星群の特徴と違いを考察した。

〜 動機・目的 〜

  ・FROとHROの特徴や違い、またこれらの間の関係性を調べたい
  ・近年のFM放送局の増加で混信が増えた為FROを行う観測者が次第に減ってきて、
   FROよりもHROの方が主流になってきている
                ⇒ もうFROに見込みはないのだろうか?
  〜 観測方法 〜

FROとHROを比較するため、それぞれ数箇所の観測地からのデータを頂いた。
そのうち今回の発表で利用したものを簡単に紹介する。

  FRO --- FM東京(80.0MHz)を名古屋にて受信
              観測者 : 山本芳敬氏(愛知県立旭丘高校教諭)
            観測期間 : しし座流星群・ふたご座流星群の極大予想日前後3日間

  HRO --- 福井県鯖江市の福井工業専門学校から前川公男氏の送信する
        アマチュア無線帯の電波(53.750MHz)を名古屋にて受信
              観測者 : 愛知県立旭丘高校天文部
            観測期間 : 定常観測 (FROと同じ期間の観測データを使用した)


  〜 解析の方針 〜

FROとHROの関係を見るために、新たな指標として

    “FRO/HRO比”(以後、略して“F/H比”)   という値を考える。

ここで F/H比 は、「FROで捉えた流星数がHROの何倍になっているか」を示す値である。
つまり、
                FROでの流星数
         F/H比 = ――――――――
                HROでの流星数            である。

     〜 観測結果 〜




〜 考察 〜
1) 2001年しし座流星群のグラフ(図1.)から次のことが分かる。
    1.HROとFROでは捉えた流星数や流星数変動の様子がほぼ同じであり、F/H比が安定している
    2.HROでは19日の7時台に流星数が増加、しかしFROでは19日の9時台に流星数が増加している


  ここで、HROとFROの違いについて考えてみると、最も大きな違いとして、利用する周波数の違いが挙げられる。
  HROの方がFROよりもおよそ30MHzほど低い周波数を利用している。
  周波数が低いほど、その電波のもつエネルギーは小さいので、流星によって反射させられるとき、
  低密度でも反射して返って来る。つまり、より空気の薄い、より高い上空でも反射することができ、
  又より”小さい”流星でも反射することができる。よって、HROの方が基本的に捉える流星数は多い。
  (流星が電波を反射するしくみについてはここを参照して下さい

  このことを前提に、上記1,2について考えてみると、
   ・ 2001年のしし座流星群ではFROでも多くの流星が捉えられている
       ⇒ 低い上空まで届いた流星、質量の大きい流星、または対地速度の大きい流星が全体的に多かった
   ・ 19日の7時台は主にHROが捉える上空100kmより少し高いところで流星数が増えたか小さい流星が増えた
   ・ 19日の9時台は主にFROが捉える上空100kmより少し低いところで流星数が増えた
  と考えられる。

2) 図1.と2001年ふたご座流星群のグラフ(図2.)から次のことが分かる。
    1.対地速度の速いしし座流星群ではF/H比≒1、対地速度の遅いふたご座流星群ではF/H比<1
    2.F/H比には日周変化があり、少なくとも同一流星群では流星群の活動レベルによらず毎日ほぼ一定している


これらのことから、F/H比の大きさと流星群の対地速度には何らかの関係があると思われるので、
流星物質の対地速度・質量によって影響される流星の光度(光度分布)をF/H比から大まかに探ることができるだろう。
つまり、F/H比を比較することで、各年・各流星群の相対的な特徴(発光高度や対地速度、質量分布や光度分布など)を
推定できると考えられる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この発表をもう少し詳しく考察したものを、5月の”Leonids-MAC国際会議”で発表しました。
そちらの内容もまたUPする予定です。


⇒ TOPへ            
⇒ 天文学会報告TOPへ